IPAが「不正アクセス対策特設サイト」を開設 点検資料と相談窓口のご案内

会員執筆・賃貸管理コラム

賃貸管理の仕事では、入居者様、オーナー様、連帯保証人様の氏名・住所・電話番号のほか、勤務先や振込先口座、契約書類など、多くの個人情報をお預かりしています。

2026年10月、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が「不正アクセス対策特設窓口」を開設しました。日頃の点検に使える資料と、被害が疑われるときの相談窓口が1つのページにまとまっています。このうち、管理業務に役立つものをご案内します。

会社の規模にかかわらず、個人情報保護法の対象です

以前は、扱う個人情報が5,000人分以下の事業者は個人情報保護法の対象外でした。この例外は2017年5月の改正法施行でなくなり、現在は顧客名簿などを事業に使っていれば、人数の多い少ないに関係なく対象になります(個人情報保護委員会 Q&A 1-50)。

対象となる事業者には、個人データの漏えいや紛失を防ぐための「安全管理措置」が求められます(個人情報保護委員会 ガイドライン(通則編))。具体的には、次のような対策です。

  • 取り扱いのルールと責任者を決める
  • 従業員に教育や注意喚起をする
  • 書類を鍵のかかる場所に保管し、事務所への立ち入りを管理する
  • パソコンやシステムにパスワードを設定し、使える人を限定する

紙の契約書類だけでなく、事務所のパソコン、メール、賃貸管理システム、クラウドの共有フォルダ、担当者のスマートフォンまで、情報が置いてある場所ごとに確認しておく必要があります。

IPA「不正アクセス対策特設サイト」とは

IPAは、情報セキュリティ対策やIT人材の育成に取り組む国の独立行政法人です。「ITパスポート試験」などの国家試験を実施している機関でもあります。

特設サイトには、主に次の内容がまとめられています。

  • 不正アクセスの被害を受けた(受けたかもしれない)ときの相談窓口
  • 被害を防ぐために、急いで取り組みたい点検と対策
  • 中小企業向けのガイドラインや資料、支援制度

IPA「不正アクセス対策特設サイト」を開く

まずは「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」から

特設サイトで紹介されている資料のうち、最初に試していただきたいのがこの自社診断です。25の質問に「実施している」「一部実施している」「実施していない」「わからない」の4択で答えると、自社の対策状況が点数でわかります。

質問は次の3つに分かれています。

分類 主な質問内容
基本的対策(6問) OSやソフトの更新、ウイルス対策、パスワード、データの共有設定、バックアップ など
従業員としての対策(11問) メールの添付ファイル、メール・FAXの誤送信防止、書類の保管・持ち出し・廃棄、離席時のパソコン画面、事務所への立ち入り制限 など
組織としての対策(8問) 従業員教育、私物スマートフォンの業務利用、取引先との秘密保持、外部サービスの選び方、事故への備え など

管理会社の日常業務でいえば、たとえば次のような点が質問に関係します。

  • オーナー様や協力業者へのFAX・メールで、宛先を間違えない工夫をしているか
  • 入居申込書や契約書のコピーを、机の上に置いたままにしていないか
  • 保存期間を過ぎた書類を、シュレッダーや溶解処理など復元できない方法で処分しているか
  • 担当者個人のスマートフォンで、入居者様の連絡先を管理していないか
  • 退職・異動した社員のIDが、賃貸管理システムやクラウドに残っていないか

診断票はPDFのほかExcel版もあります。

あわせて読んでおきたい手引き

中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き(PDF・8ページ)

クラウドサービスを選ぶときと使い始めてからの確認事項が、15項目のチェックシートにまとまっています。「使う人の範囲を決める」「パスワードを共有しない」「解約したときのデータの扱いを確認する」など、賃貸管理システムやオンラインストレージを使っている会社にそのまま当てはまる内容です。

中小企業のためのセキュリティインシデント対応の手引き(PDF・8ページ)

情報漏えい、ウイルス感染(ランサムウェアを含む)、システム停止が起きたときに、何をどの順番で進めるかが図で示されています。相談先・届け出先の一覧も載っているので、印刷して事務所に置いておくと、いざというときに慌てずに済みます。

被害が疑われるときの相談先

特設サイトでは、内容に応じて次の窓口が案内されています。

不正アクセス特別相談窓口

不正アクセスの被害を受けた、またはその可能性がある企業・組織が対象です。初動対応の助言や応急処置の案内のほか、対応を依頼できる専門業者や、ほかの相談先・報告先を紹介してもらえます。

  • 電話:03-6759-5760(平日9:30~17:30、12:00~13:00を除く)
  • メール:アドレスは特設サイトに掲載されています

企業組織向けサイバーセキュリティ相談窓口

不正アクセス以外のトラブルや、日頃の予防対策について相談できます。受付はメールです(窓口の案内ページ)。

※受付時間などは変わることがあります。ご利用の際は特設サイトで最新の情報をご確認ください。

漏えいが起きたら、個人情報保護委員会への報告も必要です

IPAへの相談とは別に、次のような漏えい(漏えいのおそれを含む)が起きた場合は、個人情報保護委員会への報告と、原則として本人への通知が法律で義務づけられています。

  • 漏えいした人数が1,000人を超える場合
  • 不正アクセスや従業員による持ち出しなど、不正な目的によるもの
  • クレジットカード番号など、悪用されると金銭的な被害が出るおそれがあるもの
  • 病歴など、特に配慮が必要な個人情報(要配慮個人情報)を含むもの

報告は、発覚からおおむね3~5日以内に「速報」、30日以内(不正な目的によるものは60日以内)に「確報」を出す流れです。不正アクセスなど不正な目的によるものは、1人分の漏えいでも報告の対象になります。手順の詳細は、個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」でご確認ください。

最後に

入居者様やオーナー様の情報は、私たちがお預かりしているものです。漏えいが起きれば、ご本人にご迷惑をおかけするだけでなく、会社の信用にも関わります。

自社診断は25問で、名前のとおり5分ほどで回答できます。会員の皆さまも、この機会に一度お試しください。

IPA「不正アクセス対策特設サイト」はこちら



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